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新幹線の大地震対策 熊本は?~東日本大震災で脱線・転覆しなかった理由~

2016/04/18

熊本の大地震で回送中の新幹線が脱線しました。さきの新潟中越地震では東京を出て長岡手前にいた上越新幹線とき325号が脱線したものの転覆を免れ、東日本大震災では脱線は1件のみに抑えられていました。その秘密を探ります。

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なぜ東日本大震災では無事で、熊本の九州新幹線は脱線したのか(結論)

✔ 新潟中越地震で、阪神淡路大震災の教訓から上越新幹線の高架を補強していたことと排雪溝の存在が奏功し、脱線車両が転覆・転落しなかった。阪神淡路大震災を契機に開発された早期地震警報システムである「コンパクトユレダス」(1998~2006頃)は機能したが、直下型地震のため脱線を防ぐまでには至らなかった。

✔ 東日本大震災では、コンパクトユレダスよりも高性能の早期地震警報システム「EQAS」(2006頃~現在;東海道新幹線を除く)が機能。東北新幹線27本のうち26本が脱線なく停止できた。

✔ 熊本で脱線した九州新幹線についても鉄道総研と気象庁が共同開発した「EQAS」が設置されている。九州新幹線では2016年3月末までに18カ所に地震計を設置。国交省は「震源が近すぎて間に合わなかった可能性がある」とコメント。

なぜ上越新幹線は転覆しなかったのか~新潟中越地震~

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✔ 新潟中越地震発生当時「とき325号」は時速約200キロで運転しており、激しい揺れで10両のうち8両が脱線しています。巨大な新幹線車両が地面を滑りながら走行することになりましたが、安全に停止しました。その要因として大きかったのは高架の線路が崩壊しなかったことです。これは1995年の阪神大震災やその後の宮城地震の被害を踏まえて、JR東日本が耐震補強工事を地道に行った成果でした。JR東日本が補修を行った橋げたは全体の2割にも及びました。

✔ 新潟中越地震(2004年)当時、新幹線安全神話の崩壊と問題視したマスコミが目立ちました。しかし、地震のための耐震工事費を節約していたら、最悪の場合車両が高架から転落する事故もありえたのです。脱線車両に注目が集まりましたがほかの走行車両もあり、早期地震警報システムである「コンパクトユレダス」(1998~2006頃)も想定通り機能しています。ただし直下型地震のため、全列車を安全に停止させるには至りませんでした。

✔ JR各社キャラ 北海道・東日本・東海編の記事でも指摘したとおり、鉄道事業が収益に占める割合が高いJR東日本は、安全面にも十分投資ができているようです。もし上越新幹線をJRのほかの鉄道会社(2社ほど思い浮かびます)が所有していたらもっと被害が拡大したかもしれません。

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✔ ただし幸運もありました。当時使われていた200系車両は、床下のブレーキ関係などの機器を車体と一体化したずんぐりむっくりとしたダルマのような構造を取ってたのです。普通の電車のように車輪で胴体を支えている構造であれば、脱線後バランスを崩し横転していた可能性があります。しかし200系はダルマ型ですので、床下を地面にこすりながら1600mほど走行し停止することができたのです。

※金沢工業大永瀬和彦教授の見解

✔ このほかにも現場が直線区間だったことや、コンクリート製の排雪溝がうまく車体を誘導したという要因も指摘されています。

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出典:http://www.sdr.co.jp/uredas.html

✔ コンパクトユレダスは、初代ユレダス(1989頃~1998頃)の改良機。作動までの時間を3秒から1秒に短縮した。

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なぜ東北新幹線は脱線すらしなかったのか~東日本大震災~

2011年の東日本大震災では全体の被害が甚大すぎ、新幹線のことはあまり報じられませんでした。しかし発生当時走行していた27本の東北新幹線のうち脱線はわずか1両だったのです。

✔ 27本の東北新幹線車両は、コンパクトユレダスよりも高性能の早期地震警報システム「EQAS」(2006頃~現在;東海道新幹線を除く)により無事に停止しました。早期地震警報システムは震源地での地震発生直後に、先手を打って自動的に送電が停止される画期的な仕組みです。つまり揺れが始まる前に車両を減速させることになり、脱線車両をわずか1本(時速14キロの試運転中の車両のみ)で抑えることができたのです。

✔ 早期地震警報システムは1998年に運用を開始しており、2004年の新潟中越地震(コンパクトユレダス)、2011年の東日本大震災(EQAS)と連続して威力を発揮してきました。EQASは新潟中越地震の教訓を踏まえ、線路沿いの地震計のデータをもとにする仕組みを改善し広域のの地震計のデータを連動させ地震の伝わりを素早く自動判断する仕組みに作り替えられています。今後は独立行政法人の防災科学技術研究所の太平洋の海底の地震データも利用する可能性があり、成功すればさらに30秒送電停止とブレーキ開始が早まると計算されています。

✔ 現在「EQAS」はJR各社で導入されています(東海道新幹線のみ別システム)。とくにJR東日本が突出して安全というわけではないのですが、大きな事故を起こしたJR西日本や整備不良が多発したJR北海道に比べ、新潟中越地震、東日本大震災と大地震に遭遇しているJR東日本の努力の成果が出ていると思います。

JR各社キャラ 北海道・東日本・東海編

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