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観光客を地方へ誘致 ビジネスにも通ずる効果的な方法〜銚子・十日町に学ぶ〜

2016/01/19

年間150回の出張をこなす松尾芭蕉のような生活をしながら、観光客誘致の方法を考えてみました。

観光客を地方へ誘致 ビジネスにも通ずる効果的な方法〜銚子・十日町に学ぶ〜

 

ぬれ煎餅で人気の銚子電鉄と「がっかり」

犬吠駅

房総半島の東端銚子。漁港や海の景勝地として知名度が高く、近年はぬれ煎餅で経営を立て直した銚子電鉄が加わり、観光地としては順調かのように感じます。

しかしデータ上観光客は減少傾向。平成19年の271万8000人から平成26年には211万1千人と大幅に減らしています。土地柄、買い物客が25万人減っていますので震災や原発事故の影響も考えられます。しかし下げ幅が大きいのは一般観光客です。銚子の魅力はざっと挙げても以下の通り。

鉄道によるアクセスが可能な観光地

犬吠埼

・銚子駅周辺 … ランチ。
・仲ノ町駅周辺 … 銚子電鉄の車庫見学、醤油工場見学。
・観音駅周辺 … 名物のたいやき。飯沼観音。評価を上げている大判焼き。
・犬吠駅周辺 … 犬吠埼(=写真)。

バスや車による観光地

・ウオッセ21 … 展望台を付随する場外魚市場。
・屏風ケ浦 … 海岸に絶壁が続く景勝地。
・地球の丸く見える丘展望館

有名景勝地の犬吠埼は電車の最寄駅から徒歩10分と他の観光地がうらやむ好条件です。一般的に観光客が好むのは「食う、見る、入る」。グルメなら海鮮、たい焼き、大判焼き。見るべき自然景観は電車なら犬吠埼、足があれば屏風ヶ浦も加わります。温泉も湧いています。これほどの魅力を持ちながらで観光客を減らすなどあってはならないことです。では、なぜ観光客が減っているのでしょうか?

ランチの接客でがっかり

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銚子駅周辺である飲食店に入りました。12時前でほかにお客はいません。「いらっしゃいませ」と大きな声はあがりました。しかしながら……。

・フロア担当の店員が退屈そうにテレビを見ています。テレビと店員の定位置を挟む場所に座っていたため、常時監視されているようで落ち着きません。

・食事を始めると、2人の店員が横のテーブルに座り新聞を見たりテレビを見たり。話しかけてくるならまだしも、各々自分の世界に入っていますから、非常に落ち着かない雰囲気です。

値段が安く料理がおいしかっただけに残念。

銚子のお店全体の口コミを見ても「がっかり」は同様です。

・入店したら、ご主人が4人組みの女性客を怒鳴りつけていました!!(なかなか注文が決まらなかった模様)

・入り口で人手が足らなくなって案内待ちの人が溜まり始めたときに「ご案内おねがいしまーす!」とレジの人が。しかし他の店員は全員無視。聞こえないふりです。

このほか持ち帰りの飲食店では次のようなことがありました。

・商品AとBを注文したいがあるか尋ねる。店員は「Bは……」と煮え切らない言い方(恐らく材料はあるが、すでに調理済みのものを売り切りたい様子)。奥から様子を察した別の店員が「今日はBは終わったの!」。これだけなら事実かもしれませんが、店員同士が目配せしコソコソ。どんな鈍感な人でも事情は分かります。

銚子にはたった1日旅行に出かけただけですが、このように実際のお店や情報収集のなかで接客の問題点が多く出てきます。銚子に訪れるのはほとんどが東京の観光客。そして東京の接客レベルは恐らく世界一ですから、非常に期待感を持ってやってきます。そして、あまりクレームを言わないのも東京の観光客の特徴です。黙って甘受し、絶対に再来しないという行動を取ります。そして何より大きいのが口コミの機会を失うこと。良いものを出して良い接客をし、2年3年待てば必ず反響はあるのにもったいない話です。

観音 さのや 今川焼

お手本になるのは同じ銚子の大判焼き「さのや」。140円の廉価で皮がパリッと焼けた大判焼きのレベルを超えた大判焼きを作っています。銚子ではたい焼きが有名ですがすでに評価は拮抗しています。そしてその原動力が接客。初めて訪ねると「黒と白があります」と言われます。説明を求めると黒は普通のあん、白は白あんです。普通の店なら毎回聞かれ面倒なことは紙に書いて表示してしまったり、面倒でまたかとつい早口になったりしますが、そのようなことは一切ありませんでした。

銚子の全ての店が、商品にさのやのように愛情をそそぎ、きちんとした接客ができたのなら観光客がここまで落ち込むことはなかったと思います。

漁港場外=高くていいは昔の話

漁港場外の「ウオッセ21」の海鮮丼の評価も、観光地値段かつ雑という声が目立ちます。築地、清水などどこの漁港場外も観光地値段は同じ。1500円前後のメニューが並びます。しかし、昔と違いどの家庭も収入が減り、旅行と言えども実質が伴うお金の使い方をしたいという方が増えています。

漁港場外の食堂には本来は「新鮮なものを安く食べられるのでは」という期待から観光客が集まります。何度か旅行を重ねると、新鮮なものが安くはない観光地値段で提供されていることに気づき、離れていく人は離れて行ってしまいます。

まぐろや 熱海

記事 ➡熱海駅 海鮮丼+かけ流し温泉激安の穴場

熱海駅の「まぐろや」では写真のまぐろ丼を500円で提供しています。こちらのお店はカウンターしかなく地元向けですので極端な例です。しかしこれなら「新鮮なものを安く食べられるのでは」という期待に完全に応え、観光客は嬉しくてその写真をフェイスブック、ツイッターなどにアップし口コミは広がり続けます。

500円ではお店が倒産してしまう、ということかと思いますが、それならば500円、800円、1200円のように価格帯を設定すれば多くの人が800円を選ぶはずです。実際に「まぐろや」でも500円の注文はほとんどありませんでした。

※熱海がうまくいっているという意味ではありません。団体客が押し寄せたころの感覚が抜けず苦戦しています。しかしなかには良心的な店もあるのです。

関連記事 ➡売れる店・繁盛店5つの法則~顧客目線の実地調査から見た特徴と店作り~

観光客は、満足しただけでは人に伝えることはありません。この値段でここまでやっているの?と驚いたときに人に伝えようとします。銚子の観光客が減っているのは、漁港場外(うおっせ21)や銚子駅前、犬吠埼などの海鮮店がリピートを取れていないのが大きな原因の一つだと思います。

①料理が丁寧

②観光地値段ではなく価値に見合った対価

③接客に東京基準で見て問題がない

このすべてを満たす店が大半を占めるようになってはじめて人がどっと訪れるようになるはずです。上述したランチ店が①、②だけを満たしていたように、2つしか満たしていない店が多いのではないでしょうか。もちろんそれ以下の店あると思います。大判焼きの「さのや」は①②③の全てを満たし、知名度の高いたい焼きを急追していると感じます。

※観光客の誘致にネットやツイッターの活用が言われますが、伝えたいと思うことを作ることが最優先だと思います。

漁港は商売下手?

銚子に限らず漁港周辺に商売下手が多いのはなぜでしょうか?

日立おさかなセンター

記事 ➡電車とあの乗り物で道の駅日立おさかなセンターへ おすすめランチ(食事)

日立漁港(おさかなセンター)では肉厚の煮付けを800円で提供して頂きました。①料理が丁寧、②観光地値段ではなく価値に見合った対価です(もう少し高くても良いくらい)。しかし、このお店を他人に積極的に紹介したことはありません。やはり店の雰囲気と接客だと思います。東京の人は誰かにお店を紹介する場合、失敗させたくないという心理を強く持ちます。そのため、たとえ内容が良くても接客が「普通」であればあまり紹介はしません。この店は非常に良い店ですがグルメサイトでは3.0点くらいの評価。非常にもったいないです。

全体として、漁村よりも農村の方が接客を重視している感覚を持ちます。漁業も農業も集団作業ですが、漁業はひとつひとつの船の規模が小さいため個人個人の感覚が強くなるのでしょうか?農村の方が自然な形で良い接客をできる傾向を感じます。東京人の場合本音と建前があり、接客は建前の方でしている面があり流派が違うのですが、いずれにしても漁村周辺に接客下手が目立つような気がします。

もちろん銚子にも心に残る接客の事例はあります。ある方がヤマサ醤油の工場に立ち寄ったところ年末年始であいにくの休み。しかし様子を察した守衛さんが声をかけてくれ、見学者が貰える記念品を手渡されたそうです。このような事例が増えてくれば、銚子の評判が上がり観光客は自然に増えていくはずです。

誰も文句を言えない銚子電鉄にも多少の提言

車庫見学 仲ノ町駅

銚子電鉄は経営難からぬれ煎餅で立ち直った美談が有名で多くの人が好意的に見ています。言い換えれば悪くは言えない雰囲気ですが、多少は目につくところもあります。

一つは、車掌や駅員の接客対応が素晴らしく良いとは言えないところ(悪くはありません)。ライバルの小湊鉄道が女性車掌を積極採用して好感度を上げようとしていますので要注意です。これまでは銚子電鉄は、関東ローカル私鉄では別格でしたが、同じ県内の小湊鉄道、いすみ鉄道なども同列に取り上げられることが増え、漫然と構えてはいられません。

記事➡ 千葉への日帰り旅行&温泉の決定版・小湊鉄道

また銚子電鉄は片付けの雑さが目立ちます。公開している仲ノ町の車庫も、もう現役ではないですしそれがいいということなのかもしれませんが車庫内が非常に雑です。鉄道業や航空業は人命を預かるためものをきちんと整理している印象があり、意外でした。また大切な観光パンフなども折れ曲がるなど心もとない状況。観光客は古いものを見に来るのではなく、古くて大切にされているものを見るためにやってきます。

現在でも車庫の公開、サービス満点の1日切符、ぬれ煎餅など努力はされていますが、単線で1カ所のみの行き違いの運行とはいえ、安全のためにも片づけは気にかけてほしいところです。小湊鉄道やいすみ鉄道、JR線ではそういった印象はありません。

観光客誘致の効果的な方法のまとめ

以上観察日記のように書かせていただきましたが、あくまも個人的な見解です。まとめると観光地全体に次の方針が貫かれていることが大切だと思います。

①仕事が丁寧

②観光地値段ではなく価値に見合った対価

③接客に東京基準で見て問題がない

この1つを欠くだけでも、今は儲かっていても徐々に他の観光地にお客さんを奪われることになります。

そしてもうひとつ大切なことが、「観光地の人全員がひとり残らず、地域をよく知り愛着を持つこと」です。これは佐渡島の観光の不振を憂う高校生が書いた文章にありました。一部熱意がある人が一生懸命に動いても、観光客は地域をあまねく行動します。そのなかで一度でも雑な対応に出会ったら地域のイメージは台無しになってしまいます。

大地の芸術祭

この点でしっかりやっているのは十日町(新潟県)だと思います。自然を生かし、東京の人には物珍しい棚田の奥まで道を整備し、そこに芸術作品を並べる大地の芸術祭を3年に1度開催しています。

記事 ➡大地の芸術祭2015ガイド

地元の人は気づきにくい田んぼや農作業風景の価値に、外部の視点を持ち気づいたのも恐れ入りますが、地域を説得し田んぼのなかにまで芸術作品を配置した努力には感服を覚えるしかありません。

まつだい 芸術祭

私有の田のなかに芸術作品が配置されています。

このような企画の中枢の人たちの冴えわたる采配だけでなく、地域の人がこの取り組みをよく理解し、観光客にしっかりと接しようと努力されている気がします。

コシヒカリあんぼ まつだい

この102円の「あんぼ」というお菓子は、地元の人がコシヒカリの米粉から手ごねで作っています。できたその日に食べれば、人気がある「おやき」を上回る味です。

①仕事が丁寧

②観光地値段ではなく価値に見合った対価 … 102円

③接客に東京基準で見て問題がない … 販売者(スーパーの店員)は同日2度目に購入したところ「良さを分かっていただきありがとうございますね」とおっしゃいました。

やはり農村の方が団結力があり観光客の誘致がうまいのでしょうか?自分と直接関係のない人が作った「あんぼ」を、スーパーの店員がその良さを分かって丁寧に売る。これは集団重視の女性的な精神を感じます。

一方漁村では男女問わず、釣竿1本で身を立ててきた男性的な精神を感じます。「いいものを出せば、愛想などいらん」そういった土壌があるのかもしれません。

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それでも銚子電鉄を関東1位に推す訳

銚子電鉄

たった1日滞在しただけの銚子では何度もがっかりすることがありました。しかし、関東ローカル私鉄では小湊鉄道でもいすみ鉄道でもなく銚子電鉄を推します。ひとつは「食う、見る、入る」が揃うこと。他人に観光地を紹介するなら、グルメ、観光地(特に自然景観)、温泉が揃うことが後悔させない条件です。小湊鉄道、いすみ鉄道はその辺で心もとない面があります。やはり、ぬれ煎餅、たい焼き、大判焼きと徒歩で行ける犬吠埼を持つ銚子電鉄と銚子周辺は安心して推すことができます。

もうひとつは1日で回れるくらい魅力が凝縮されていること。小湊鉄道やいすみ鉄道は路線が長い割に見どころも食べる要素も限られイメージが伝えにくいのです。銚子周辺は各駅ごとの観光地のイメージが距離の短い銚子電鉄を軸に集約されやすく、満足度が間違いなく高くなります。

銚子は一度は銚子電鉄を失いかけましたがもったいないことです。鉄道はひとつの観光先という点だけでなく、周囲の観光地のイメージをまとめ上げて観光客に印象付ける機能があります。白馬や穂高が人気観光地であるのは大糸線の存在を抜きには語れませんし、比較的凡庸な仁科三湖も大糸線効果で訪れる人がいるはずです。金沢、富山、黒部も北陸新幹線にイメージを集約されさらに認知が高まっています。

地方ではクルマ社会ですが、名古屋を除く都市圏ではクルマを持たない人も多く、電車のイメージは絶大です。このことも観光客誘致に欠かせない視点です。

関連記事 ➡千葉県日帰り穴場 大原駅から菜の花ラインに乗りかえて、いすみ鉄道大多喜駅へ

特急あやめを失った鹿島神宮の轍を踏まない

鹿島神宮

そして観光客誘致のために銚子が絶対に手放してはいけないのが特急しおさい。現在は高速バスの方が本数は多いですが、JRの首都圏からの特急は無料の広告塔です。通勤に疲れた東京の人が「特急しおさい銚子行き」を何度か目にすれば、必ず旅行の際に銚子も候補に挙がります。また観光地としてのイメージも特急列車に集約されていきます(とくに終点駅はその効果絶大)。

高速バスにはそうした効果はほとんどありません。高速バスの方が運賃は安いですが、銚子を挙げて特急しおさいを応援すべきだと思います。銚子駅到着前に車内でお菓子を配ってもよいでしょう。また特急券と引き換えに割り引いたり何かと交換するようなサービスをしてもよいと思います。

実際の流入は自家用車や高速バスが多くとも、イメージを集約する効果や広告塔としての効果から特急を重視すべきです。東京都は自家用車保持率が低いことは言うまでもありません。

鹿島神宮は高速バスが便利になり、特急あやめ号を失いました。大きな反対運動も伝わってきませんでした。実際には圧倒的に高速バス利用者が多くても、地道に「あやめ=鹿島神宮」のイメージを集約し宣伝してくれた特急あやめ廃止の効果はボディブローのように効いてくるはずです。

銚子ではぜひ銚子電鉄や特急しおさいを大切に育てていってほしいと考えています。

記事 ➡鹿島神宮駅/おすすめのランチ、観光、ホテル(特急あやめ廃止で高速バス利用)

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