アメリカでは接戦が繰り広げられるコカ・コーラ社とペプシコーラ社。日本では長い間コカ・コーラの人気が上回っていますがなぜなのでしょうか? コカ・コーラ社とペプシコーラ社の戦略の違いを同時期に発売されたコカ・コーラスリムボトルとペプシストロングに見てみました。
戦略なきペプシ ペプシストロングのCMは流れるが……
ときは2015年、CMを大量に流し、強炭酸・強カフェインを強調し、エナジードリンク市場に切り込むはずだったペプシストロング。しかし、よりコーラ好きに人気の缶パッケージは、コンビニにも自販機にもなかなか入荷しませんでした。
コンビニエンスストアには、コカ・コーラスリムボトルの缶が並びました。アルミならではの冷たさ、と缶のメリットを訴えています。
ペプシストロングにも缶パッケージはあるが
ペプシストロングにも、缶製品が存在しないわけではありません。ペットボトルでは微妙だった変化も、缶ではよりはっきりと感じられ、コカコーラ好きでも、たまにはいいかなと思えるレベルに仕上がっています。
CMばかり流し、強炭酸の刺激がよりよく伝わるはずの缶を軽視しているところに、ペプシの「分かっていない感」を強く感じます。
CMは最小限でも売る戦略 コカコーラのアルミ製スリムボトル
CMを垂れ流すペプシを尻目に、コカコーラはコンビニを中心にアルミ製のスリムボトルを発売。「アルミならではの冷たさで、特別な刺激を味わおう」がキャッチフレーズでした(これだけで分かっている感満載)。
コーラの刺激や爽快感は、容器の材質に非常に大きく依存します。ペットボトルやプラスチックのコップでは、手や口元のぬるさから冷えきった感触を味わうことができず満足度は大きく下がります。どんなにドリンクバーが普及しても、個人の飲食店向けに瓶の供給をやめないコカコーラは、容器の重要性をよく知っていると考えられます。
また一気に飲める250mlのサイズは、ペットボトルと違いぬるくなることはありません。ペプストロングがペットボトル主体で売ったのとは戦略の差を感じました。
コンビニで目立つデザイン
コカ・コーラはスリムボトルをコンビニに絞って販売しています。コカ・コーラの実績とブランド力ならコンビニエンスストアの飲料棚の目立つ位置を獲るのは簡単なことです。
そこに洗練された目立つデザインがあれば、おのずと認知を広げます。コカ・コーラはCM費用をかけずにペプシ・ストロングに近い浸透度を実現しているのです。ペプシは改めて、エナジードリンクの大半が缶で発売されていることの意味を考え直して欲しいです。
ペプシは私達のこだわりを理解していないように感じる
缶タイプを十分に準備しなかったペプシ。アンケートでコーラに気分転換機能を求めている人が多かった。⇒カフェインを増やしCMを流せば売れる。こういったやや安易な流れを感じます。
一方コカ・コーラは、コーラ好きの飲み口へのこだわり、短時間で気分転換したいサラリーマンの気持ちにピッタリ寄り添っていました。ペットボトルや缶を持ち歩き人前で飲むのには抵抗を感じる女性への配慮も感じました。
ペプシは本当に強カフェイン、強炭酸なのか??
- ペプシストロングのカフェイン量 … 100mlあたり19mg。
- レッドブルのカフェイン量 …100mlあたり32mg。
ペプシストロングのカフェイン量は、エナジードリンクの代表格・レッドブルよりかなり少なく、強力カフェインは本当なのかと感じます。
しかし、レッドブルは250ml缶のため、総量は80mg。コンビニでよく見かけるペプシストロングのペットボトルは、500mlのため総量は95mg。総量ではペプシストロングの方が「強力」と算出され看板に偽りはありませんでした。
強炭酸は本当?
カフェインの量に関して、看板に偽りなしといえるストロングゼロ。一方で強炭酸に関しては、疑問を感じる口コミや感想がネット上に多く見られます。実際にペットボトルをよく冷やして飲んでみても、炭酸水やオロナミンCなどと比べ、強炭酸だという感じは受けませんでした。
一般に強炭酸に耐えらるのは、瓶、缶、ペットボトルの順だと言われています。強炭酸が売りのラムネも、基本は瓶入りです。しかし、それはあくまで俗説。オロナミンCが瓶にこだわるのは、少ない量で満足感を感じさせるために、瓶特有の口当たりや手に伝わる冷たい感触が欠かせないという面もありそうです。ペットボトルでも、スプライトなどに使用されている頑丈なタイプもあります。
ペプシストロングゼロも、炭酸の気圧が集中しない曲面構造で、底の部分のロケットの脚部のような形も、強炭酸対策です。必ずしもペットボトルだから強炭酸に偽りありとは言えません。
公表されない炭酸濃度の数値
ペプシストロングをレビューした記事やブログが、総じて強炭酸に関しては切れ味が悪いのは、飲料会社が炭酸濃度を公表していないところに原因があります。コカ・コーラに関しても、炭酸濃度を強く感じる瓶にファンが多いのですが、数値は非公表。
農林水産省規格を調べるとガスによる圧力の最低基準が定められています(温度は20度)。
- 炭酸水 … 0.29MPa以上
- 炭酸水の加工品 … 0.07MPa以上
コーラは炭酸水の加工品ですので0.07MPaが基準。もしも強炭酸を求めるなら、実はシンプルな炭酸水が一番ということが分かります。最近はコンビニでもよく見かける炭酸水を飲む習慣がある人は、ペプシストロングが強炭酸だと言われてもピンとこない可能性があります。
過去には公表していたコーラもあった炭酸濃度
炭酸濃度は、3kg/cm²以上のように圧力で示す方法のほか、ガスボリュームという表し方もあります(15.6℃における炭酸ガスの体積÷飲料の体積)。もしボリュームが3ならば、水分の3倍の炭酸ガスが含まれていることになります。
目安は以下の通り。
- ビール 1.5~2.6
- 多くの炭酸飲料(ファンタなど) 2.2程度
- コーラ 最大3.8程度
コーラはそもそも強炭酸に属することが分かります。ペプシストロング(ゼロ)が強炭酸だと言っているのは、自社や他社のコーラ比ではなく、あくまで他の清涼飲料水との比較だと考えれば辻褄が合いますが、数値を公表すればもっとクリアーになるはずです。
炭酸濃度は健康上の影響が少ないためかほとんどが非公表ですが、過去に公表していたコーラもあります(上の写真)。缶の下の方にガスボリューム3.5と明記してあります。
ペプシストロングの強炭酸を嘘とは言いませんが、特にペットボトル版では明確な数値が求められています。
ネットカフェのコーラにも似た現象が
近年ネットカフェのシェア1位に躍り出た快活クラブは、コーラを始めとする飲料についてよく研究しているため、ドリンクバーではガラス製のコップを原則採用しています。
業界2位に留まる自遊空間は、サービスなどは快活クラブをまねていますがコップはプラスチック。やはり繊細なこだわりがあり、消費者をよく見ている企業がナンバーワンになるようです。ペプシや自遊空間にも頑張ってほしいです。
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