旅館の食事の順番 先付けから水菓子まで「楽しみどころ」はここ

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旅館の食事の順番を極力シンプルに、かつ楽しみどころが分かるようにまとめました。旅館の食事は、お酒を伴う「会席料理」に倣うことが多いです。一応おいしく楽しめる順番で出されますが好きな順番で食べて良いものだと考えます

旅館の食事の順番
  • 1
    先付け(突き出し)
    文字通り、先に出す一皿。「季節感」を探すのがポイント。
  • 2
    椀物(吸い物)
    この後、淡白な味となる刺身が控え、薄味の吸い物が多い。
  • 3
    向付け(お造り)
    茶懐石料理で、向こう側に置くことから転用。刺身が多く「新鮮さ」を楽しむ。
  • 4
    焼き物
    焼き魚が多い。「シンプルに素材を楽しむ」がキーワード。
  • 5
    煮物
    おもに野菜の煮物だが、こだわる旅館では魚介も。作り手がこだわる「ダシの良さ」が楽しむポイント。
  • 6
    (鍋物)
    会席にはないが、温かく提供したい旅館では多用。豚肉には「宿の工夫」が出やすい。
  • 7
    強肴(しいざかな)
    メインの料理の後に、主人が酒が進む料理や自信作をダメ押し的に供するという意味。「天ぷら」を出す旅館は、歴史ある旅館。
  • 8
    食事
    ご飯、香の物(漬物)、止め椀(味噌汁)。「止め」とは、会席の最後を意味。ご飯は味に対する「水の影響」が大きい。
  • 9
    水菓子
    季節の果物やお菓子。中小のこだわりのある旅館では「手作りのもの、果物」。

「先付け」「水菓子」などのネーミングは旅館によって異なります。よく使われ覚えやすく、かつ学びがあるものを厳選しました。

著者 国内宿泊歴500泊のYahoo!ニュース公式旅行ライター。日本テレビ(2023年)、TBS(2024年)に、穴場旅の専門家として登場。JTB旅行地理検定合格。

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先付け(突き出し)

先付けは、文字通り「先」に出す一皿です。突き出しとも呼び、関西でお通しの意味で使われる言葉です。この旅館では、写真とは別の小鉢を先付け、写真の皿を前菜と呼んでいました。

いずれも素材を生かした薄味が特徴。見た目にも工夫が凝らされます。

旅館では好きな順番で食べて良いと思いますが、作り手が先付けに盛り込むのは季節感。分かる範囲で季節感を考えてみると楽しいです。こちらの前菜は、やはり沢蟹が目を引きます。春から秋に獲れる蟹です。

先付けの前にお酒の注文を聞かれます。平成頃までは、何か頼むのがマナーでしたが、現在は頼まない人も増え、旅館も踏まえていることが多いです。会席料理はお酒を前提としており、ご飯は最後の方となりますので、先に出してほしい場合、ここで依頼しておくとよいです。

椀物(吸い物)

この後、淡白な味となる刺身が控えますので、薄味の吸い物が出されます。この旅館では、お椀は省略されていました。

向付け(お造り)

茶懐石料理で、向こう側に置くことから転用。おおむねお刺身ですが、リーズナブルな旅館では、なます(野菜の酢漬け)の場合もあります。

お刺身は、淡白な味のものから頂くと良いと言われますが、旅館では好きな順番でよいでしょう。旅館によっては生の刺身を使う場合もあり、新鮮さへのこだわりを見てもよいでしょう。

刺身の質は、旅館全体のお客の数に影響を受けます。足が早い(傷みやすい)ため、客数がある程度多い方が、新鮮なものを日々使い切ることができます。ごく小さな宿は、冷凍に頼らざるを得ない面があり、またバイキングなどではコストの関係で冷凍ものが増えます。

焼き物

焼き魚や、焼いたえびなどが出されます。新潟県の旅館らしく、高級魚のどぐろが登場しました。赤いものは「はじかみ」と呼び、葉生姜の1首で、色どりと口直しを兼ねます。

焼き魚はシンプルに素材を楽しむ料理ですが、旅館の料理は、どこかにサプライズが隠しこまれていることが多いです。こちらの旅館は、のどぐろに添えられた、甘い梅の揚げ物が珍しい味で、サプライズの1つでした。

煮物

写真では右側。文字通り野菜や魚介を中心とした煮物ですが、こちらの旅館では、豪華さを演出するために、うなぎ入りの豆腐が含まれていました。

煮物は、出汁へのこだわりを見てみてもよいでしょう。こちらの旅館では、八方あんと呼ばれる出汁を、もみじの形の麩と味わう料理でした。

(鍋物)

旅館では、厨房と食事の場所が離れていることが多く、正式には会席には含まれませんが、ひとり用の鍋を使って、暖かい料理が提供されることが多いです。

この旅館では、和牛の豆乳鍋が準備されていました。豚肉や野菜使う旅館が多いですが、こだわる旅館では牛肉が用意されます。しかし、味つけに工夫をこらし、豚肉でもびっくりするほどおいしい場合があり、豚肉には宿の工夫が出やすいと言えます。

1人鍋の固形燃料は、早めに燃え尽きてしまった場合、追加が可能です。遠慮してしまいがちですが、1個あたり10~20円程度のコストのため、気軽に提供してもらえます。豚肉、鶏肉は、火が通っていないと大きな健康被害につながりますので、注意が必要です(東京都保健医療局)。

強肴(しいざかな)

強肴とは、主な料理の後に、主人が酒が進む料理や自信作をダメ押し的に供するという意味です。

炊き合わせ(煮物の1種)やあえ物、おひたしといった小鉢のイメージの場合もあれば、揚げ物やステーキのような、メインに近い料理となることもあります。

昭和世代は、天ぷら好きな人が非常に多かったため、強肴は天ぷらが選ばれることも多いようでます。天ぷらを出す旅館は、歴史ある旅館と言ってもよいでしょう。近年は、準備の都合もあり天つゆではなく塩で食べさせる旅館が多いです。天つゆを利用している旅館は、かなりの伝統重視派と言えます。

この旅館では、さらに「中皿」と呼ばれ、後半のどこかに挟まれる料理も出てきました(右下)。こちらは器も良く、サプライズの料理でした。

食事

ご飯、香の物(漬物)、止め椀(味噌汁)が出てきます。止め椀の「止め」とは、会席の最後を意味します。

地元産のコメにこだわる旅館が多いですが、水が良い地域では、味に対する水の影響も大きく、気にしてみると面白いかも知れません。

水菓子

季節の果物やお菓子が出されるのが一般的です。

リーズナブルな旅館や、大型の観光ホテルや旅館では手が回らないことが多く、外注品のシェーベット、わらび餅、杏仁豆腐などもよく利用されます。中小のこだわりのある旅館では、「手作りのもの、果物」がよく出てきます。

紹介した旅館は、川沿いの露天風呂が特徴の、穴場の名旅館です。露天風呂付き客室もありますが、旅館内の大浴場、露天風呂もよく、食事も上で紹介の通りの質です。

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