NHK番組のブラタモリ・阿蘇編で、阿蘇山の地形・歴史を踏まえた、観光ルートが紹介されました。この記事では、田子山展望所に始まるブラタモリ阿蘇編の全ルートを、写真やアクセスなどの情報とともに紹介します。
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阿蘇山|ブラタモリ阿蘇
ブラタモリは、阿蘇山を一望できる隠れた名所、田子山展望所(地図)からスタート。
現在は、そらふねの桟橋カフェがあり、インスタ映えのスポットとしても知られています。
折戸地区コミュニティセンターから徒歩で登山し、田子山をめざします。または、クルマで、向ノ平集会所のわきの道を入りますが、すれ違い困難な、難しい道となります。
田子山展望所は、阿蘇山をその北西から見る場所にあります。阿蘇山を囲むようにドーナツ型に平坦な土地が広がり、阿蘇山を含めて、カルデラを形成しています。
阿蘇山は、噴火でできた巨大なカルデラ(東西18km、南北25km。火山活動で大きく陥没した部分)に、約5万人もの人が暮らす、世界でも珍しい場所です。観光客は年間に約1000万人にのぼります。
阿蘇市役所はもちろん、豊肥本線や南阿蘇鉄道も、カルデラのなかを通っています。
阿蘇山の噴火は、27万年前のAso-1から9万年前のAso-4まで、4回の噴火が繰り返されました。とくにaso4は、規模が大きく、現在の阿蘇の地形の大半を形作ったとされています。ブラタモリ阿蘇編のテーマは、阿蘇は世界のお役立ち火山です。
ブラタモリ熊本編のおさらい(キーワードはAso-4)
- 熊本県(肥後)は、火の国と呼ばれたように、熊本市の東には、阿蘇山がある。
- 阿蘇山は、2015年9月に噴火した世界最大級のカルデラ。阿蘇山の火砕流堆積物は、西に位置する熊本市周辺まで、広く堆積している。
- 熊本城の南には、約9万年前に起きた、Aso-4と呼ばれる火砕流が露頭している。水が豊かな水前寺成趣園は、Aso‐4に雨水が浸透し地中を流れ、地表に出たもの。
草千里ヶ浜と米塚|ブラタモリ阿蘇
ブラタモリは、草千里(草千里ヶ浜)を訪ねます。阿蘇駅側から、阿蘇山(中岳)に登る途中にある場所です。
約3万年前の噴火で、山の上部が吹き飛ばされ、お椀状の円形の平地となったものです。
- 草千里展望所のアクセス JR阿蘇駅よりバス(阿蘇火口線) 草千里阿蘇火山博物館前下車 徒歩1分(地図)。
このお椀状の平地は、どのようにできたのでしょうか?
これは、爆発的な反応が続き、噴煙が成層圏に達することもある、極めて大規模な「プリニー式の噴火」の痕跡です。
噴石、火山灰、火山ガスを主体として構成された1~5万mの噴煙柱は、1日、場合によっては数日から数カ月維持され、のちに大崩壊を起こし、周囲一帯を埋めつくします。
一方、阿蘇を象徴する地形である米塚は、地中から、何度かに分けてしぶき状に噴出したマグマが、積み重なってできたもの。こちらは「ストロンボリ式噴火」と呼ばれます。3000年前、縄文時代にできた比較的新しい地形です。
- アクセス 米塚は、同じ草千里展望所から見ることができます。
東日本のプリニー式噴火とストロンボリ式噴火
東日本では、日光の男体山が、噴煙柱が立ち上がる、プリニー式噴火を起こしたことがあります。周辺の戦場ヶ原には、最大深度116mもの噴出物が見られます。ブラタモリ奥日光編で、タモリさんも訪問。
阿蘇・米塚に似た形の、伊豆・大室山は、やはりストロンボリ式噴火でできたものです。ストロンボリ式は、手持ち花火を地面に刺し、火花が吹き上がり、冷えて落ちてゆくイメージです。ブラタモリ伊東編で、タモリさんが訪問。
中央火口丘|ブラタモリ阿蘇
阿蘇には様々なタイプの火山がいまも活動を続けており、世界の火山研究家にとって、なくてはならない存在です。現在も噴火活動が続く中岳は、特に注目されています。
中岳では、複数の噴火形式(阿蘇で典型的な灰噴火、ときにはストロンボリ式噴火)が観察でき、ライブカメラ(阿蘇火山博物館で映像を見学可能)が世界に中継しています。
- アクセス 阿蘇駅からバスで35分、阿蘇山上ターミナル下車。阿蘇山ロープウェーは、噴火や地震による影響で廃止となっています。
阿蘇中岳の空撮写真をご提供いただいた、読者の『鉄道と自転車でプチ冒険に出よう』さんのブログです。中岳のヘリコプター遊覧の様子も、掲載されています。
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周辺にもストロンボリ式?|ブラタモリ阿蘇
ブラタモリは、カルデラの北東部を訪ねます。田んぼが広がります。ここにもストロンボリ式の丘のようなものが、いくつも見られますが……?
これはストロンボリ式の丘ではなく、古墳群です。番組の構成意図に反し、タモリさんは、誤解なく即答でした。古墳は、阿蘇カルデラ内に90基あります。
中央火口丘から8キロの場所で火山活動?|ブラタモリ阿蘇
タモリさんが特別な許可を得て登った長目塚古墳は、前方後円墳です。
- アクセス 阿蘇駅から北東へクルマで10分(地図)。
川の工事で一部が削られた「前方」の部分の発掘調査から、石室が発掘されました。発掘された真っ赤な石室の顔料は、ベンガラと呼ばる顔料です。赤色は、埋葬や祭祀に使われる色でした。ベンガラはどのように作られたのでしょうか?
周辺では、水路の流れが赤くなっています。ベンガラは、酸化した鉄分を含む土から作られます。
- 水路へのアクセス 阿蘇駅から西へクルマで13分(地図)
ブラタモリは、ベンガラの原料となる土の採掘現場(日本リモナイト 阿蘇鉱業所)に特別な許可を得て入ります。ショベルカーで、3〜6mの穴が掘られています。
中央火口丘から8キロもあるこの場所で、なぜ酸化した鉄分が出てくるのでしょうか?
これは、地中で弱い火山活動が続いているからだと、考えられます。
鉄分のもとは、マグマです。阿蘇では、地下6m付近まで、鉄分を含んだ「阿蘇黄土」が出てきます。阿蘇黄土は、身近なクレヨンの黄土色や、あるインフラ関係でも使用されています。タモリさんもお世話になっているインフラとは、何のことでしょうか?
ブラタモリは、阿蘇黄土を加工しペレット状にする工場を見学します。硫化水素を溶かし、臭いを放つ汚れた水に、ペレット状の阿蘇黄土を入れてみます。すると、臭いが消えていました! 《硫化水素+水酸化鉄→硫化鉄+水》の反応が起きたのです。阿蘇黄土は、東京都の下水処理にも使われています。
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大観峰|ブラタモリ阿蘇
古い地図には、牟田(無田)という表記が、多数見られます。土壌が悪く、農業には向かない土地です。
ブラタモリは、阿蘇の雄大な景勝地、大観峰に向かいます。
景色を見下ろすと、現在は、田畑が広がっているようです。阿蘇の地質は、阿蘇黄土により酸性が強いため、農業には向きません。どのように土地を改良したのでしょうか?
外輪山の1万6千ヘクタールの草原に広がる、養分を含んだ草(ススキ)を田んぼに加え続けることで、土地を生まれ変わらせたのです。
かつては、草原の奪い合いが生じていました。その痕跡として、境界線を示す、土塁の跡が多数残っています。土塁の総延長は500キロあり、150のグループが決められた範囲を利用していました。
現在、阿蘇のススキは、かやぶき屋根に欠かせないものとして使われています。
阿蘇山では、3月には野焼きが行われ、草原の森林化を防ぐ手入れがされています。
草原の土に挟まれた、鬼界カルデラの火山灰から成る赤い層(約7300年前)から年代を推測すると、阿蘇の草原は、縄文時代に存在していた可能性があります。
狩猟に適した、見通しの良い場所を作るために、縄文人が野焼きしていた可能性も考えられます。縄文人も同じ、草原、野焼き、阿蘇の火山の光景を見ていたのかも知れません。
関連 ブラタモリ熊本城編では、湧水の観点から阿蘇山を研究しています。
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😎過去回ロケ地 完全収録
ブラタモリが、長岡→燕・三条→新潟市を、信濃川なしには語れない地域としてまとめてくれそう!😎
— ブラタモリ (@buratamori2018) August 27, 2023
漏れる糸魚川、上越、村上などは北前船航路でカバー🚣♂️
信濃川、北前船で理解しやすく全県を売り出せば、まだまだ観光客は来そう!
動画は十日町市に信濃川が作った河岸段丘で、このエリアもカバー。 pic.twitter.com/pFJF4tlKW3
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