NHK番組のブラタモリ・阿蘇編で、阿蘇の地形・歴史を踏まえた、穴場観光地を含むルートが紹介されました。この記事では、ブラタモリ阿蘇編の全ルートを、写真やアクセスなどの情報とともに紹介します。再放送予定も掲載。
関東圏。静かな名湯・絶景穴場・田舎。取材年100日。プロフィール。
再放送、見逃し配信:【ブラタモリ見逃した?】再放送予定と時間帯、無料配信もあります
再放送は、翌火曜日の23時55分から(休止の場合あり)。再放送でなくすぐに見たい場合や、スマホから見たい場合は上のリンクをご利用ください。
阿蘇山:ブラタモリ阿蘇
穴場の田子山展望台からスタート

ブラタモリは、阿蘇山を一望できる穴場の展望台・田子山からスタート。
阿蘇山は、噴火でできた巨大なカルデラ(=火山活動で大きく陥没した部分)に、約5万人もの人が暮らす、世界でも珍しい場所です。観光客は年間に約1000万人。
阿蘇山の噴火は、27万年前のAso-1から9万年前のAso-4まで、4回の噴火が繰り返されました。とくにaso4は、規模が大きく、現在の阿蘇の地形の大半を形作ったとされています。ブラタモリ阿蘇編のテーマは、阿蘇は世界のお役立ち火山です。
ブラタモリ熊本のおさらい
【ブラタモリ熊本城】タモリ推奨の熊本城の歴史・地形・観光ルートまとめ #34
1 | 熊本県(肥後)は、火の国と呼ばれたように、熊本市の東には、阿蘇山がある。 |
2 | 阿蘇山は、2015年9月に噴火した世界最大級のカルデラ(=火山活動で大きく陥没した部分)。阿蘇山の火砕流堆積物は、西に位置する熊本市周辺まで広く堆積している。 |
3 | 熊本城の南には、約9万年前に起きた4回目のAso-4と呼ばれる火砕流が露頭している。 |
4 | 水が豊かな水前寺成趣園は、阿蘇山の火砕流Aso‐4に雨水が浸透し地中を流れ、地表に出たもの。 |
5 | 熊本市上下水道局が管理する健軍水源地は、Aso‐4よりも大深度の地下にあるAso‐3~1から取水している。 |
草千里ヶ浜と米塚:ブラタモリ阿蘇

ブラタモリは、草千里(草千里ヶ浜)を訪ねます。約3万年前の噴火で、山の上部が吹き飛ばされ、お椀状の円形の平地となったものです。これはどのようにできたのでしょうか?
- 草千里展望所のアクセス:JR阿蘇駅よりバス(阿蘇火口線) 草千里阿蘇火山博物館前下車 徒歩1分。地図はこちら(熊本地震の影響で2018年12月に移転再開) 。
爆発的な反応が続き、噴煙が成層圏に達することもある、極めて大規模なプリニー式の噴火の痕跡です。噴石、火山灰、火山ガスを主体として構成された1~5万mの噴煙柱は、1日、場合によっては数日から数カ月維持され、のちに大崩壊を起こし、周囲一帯を埋めつくします。

阿蘇を象徴する地形である米塚は、地中から、何度かに分けてしぶき状に噴出したマグマが、積み重なってできたものです。ストロンボリ式噴火の痕跡です。3000年前、縄文時代にできた比較的新しい地形です。
- アクセス:米塚は、同じ草千里展望所から見ることができます。
(参考)東日本では、日光・男体山がプリニー式、伊豆大室山がストロンボリ式

(参考)東日本では、日光・男体山の噴火がプリニー式です。写真は、最大116mもの噴出物が見られる戦場ヶ原。
【ブラタモリ奥日光】奥日光の歴史・地形・観光ルートまとめ #26

(参考)東日本では、伊豆・大室山がストロンボリ式噴火の痕跡です。ストロンボリ式式は、手持ち花火を地面に刺し、火花が吹き上がり、冷えて落ちてゆくイメージです。
中央火口丘:ブラタモリ阿蘇

阿蘇には様々なタイプの火山がいまも活動を続けており、世界の火山研究家にとって、なくてはならない存在です。現在も噴火活動が続く中岳は、特に注目されています。中岳では、複数の噴火形式(阿蘇で典型的な灰噴火、ときにはストロンボリ式噴火)が観察でき、ライブカメラ(阿蘇火山博物館で映像を見学可能)が世界に中継しています。
- アクセス:阿蘇山ロープウェーは、災害に寄り長期運休中。代行バス・阿蘇山ループシャトルも、運休中。ブラタモリでは、草千里展望所から中岳を見学しています。
周辺にもストロンボリ式?:ブラタモリ阿蘇
ブラタモリは、カルデラの北東部を訪ねます。田んぼが広がります。ここにもストロンボリ式の丘のようなものがいくつも見られますが……?
これはストロンボリ式の丘ではなく、古墳群です。番組の構成意図に反し、タモリさんは、誤解なく即答でした。古墳は、阿蘇カルデラ内に90基あります。
長目塚古墳
タモリさんが特別な許可を得て登った長目塚古墳は、前方後円墳。川の工事で一部が削られた「前方」の部分の発掘調査から、石室が発掘されました。
- アクセス:阿蘇駅から北東へクルマで10分。地図はこちら。
ベンガラの原料を探る
発掘された真っ赤な石室の顔料は、ベンガラと呼ばる顔料です。赤色は、埋葬や祭祀に使われる色でした。ベンガラはどのように作られたのでしょうか?
周辺では、水路の流れが赤くなっています。ベンガラは、酸化した鉄分を含む土から作られます。
- 水路へのアクセス:阿蘇駅から西へクルマで13分。地図はこちらから。
ブラタモリは、ベンガラの原料となる土の採掘現場(日本リモナイト 阿蘇鉱業所)に特別な許可を得て入ります。ショベルカーで、3〜6mの穴が掘られています。
地中で続く微弱な火山活動
中央火口丘から8キロもあるこの場所で、なぜ酸化した鉄分が出てくるのでしょうか?
これは、地中で弱い火山活動が続いていると考えられます。鉄分のもとは、マグマです。阿蘇では、地下6m付近まで、鉄分を含んだ阿蘇黄土が出てきます。阿蘇黄土は、身近なクレヨンの黄土色や、あるインフラ関係でも使用されています。タモリさんもお世話になっているインフラとは、何のことでしょうか?

ブラタモリは、阿蘇黄土を加工しペレット状にする工場を見学します。硫化水素を溶かし、臭いを放つ汚れた水に、ペレット状の阿蘇黄土を入れてみます。すると、臭いが消えていました! 《硫化水素+水酸化鉄→硫化鉄+水》の反応が起きたのです。阿蘇黄土は、東京都の下水処理にも使われています。
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大観峰:ブラタモリ阿蘇

古い地図には、牟田(=無田)という表記が多数見られます。土壌が悪く、農業には向かない土地です。
ブラタモリは、阿蘇の雄大な景勝地、大観峰に向かいます。阿蘇の地質は、阿蘇黄土により酸性が強いため、農業には向きません。どのように土地を改良したのでしょうか?
外輪山の草原のススキ

外輪山の1万6千ヘクタールの草原に広がる、養分を含んだ草(ススキ)を田んぼに加え続けることで、土地を生まれ変わらせたのです。
かつては、草原の奪い合いが生じていました。その痕跡として、境界線を示す土塁の跡が多数残っています。土塁の総延長は500キロあり、150のグループが決められた範囲を利用していました。
阿蘇の草原の管理
3月には野焼きが行われ、草原の森林化を防ぐ手入れがされています。現在、阿蘇のススキは、かやぶき屋根に欠かせないものとして使われています。
3層の地層があります。草原の土に挟まれた、鬼界カルデラの火山灰から成る赤い層(約7300年前)から年代を推測すると、阿蘇の草原は、縄文時代に存在した可能性があります。狩猟に適した見通しの良い場所を作るために、縄文人が野焼きしていた可能性も考えられます。縄文人も同じ、草原、野焼き、阿蘇の火山の光景を見ていたのかも知れません。
(関連)ブラタモリ熊本城編では、湧水の観点から阿蘇山を研究しています。
(参考)東日本では、日光・男体山の噴火がプリニー式です。戦場ヶ原では、最大116mもの厚さの噴出物が見られます。
【ブラタモリ奥日光】奥日光の歴史・地形・観光ルートまとめ #26
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ブラタモリ白金編のまとめです。
— ブラタモリ (@buratamori2018) 2019年6月22日
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