
2008年に始まり、断続的ながら16年続いている紀行番組がブラタモリ。
このページでは、人気の秘密を「編集力」に絞って説明します。
マツコが「泊まりたい」と2度発言した宿(露天風呂がお目当て)
たった1つのテーマを徹底するブラタモリ


ブタラモリは45分間の旅番組です。冒頭にテーマ(疑問)を1つだけ示し、番組内で答えを出す構成を取っています。
例えば、長野県の松本城は、豊臣・徳川はじめ3人の武将に重用されたお城です。ブラタモリ松本編では、冒頭で「国宝・松本城はなぜ愛された?」というテーマを示します。
実はお城や城下町では、家臣や町人の生活を維持し、戦時を戦うためには、水の確保が非常に重要です。
タモリさんが松本の街を歩きながら、その答えは「水が湧きやすい複合扇状地」という地形にあるという、たった1つの結論を導きました。
【ブラタモリ松本・全ロケ地】タモリさんが松本城や城下町を探る#183
初めから結論1つが徹底されていたわけではない


最新のシリーズだけで263回を数えたブラタモリですが、初めから結論1つが徹底されていたわけではありません。
最新のシリーズでは第94回にあたる吉祥寺編。テーマは「なぜ人は吉祥寺に住みたがるのか」と設定されていましたが、結論はやや複雑でした。
- 江戸時代、弁財天もある人気の観光地だった。
- 2つの上水が設けられ、住みやすく農業を営むにも適した土地だった。そのため、明暦の大火を機に、多くの人が移り住んできた。
- 移転した寺院が、甲武鉄道(現在のJR)の吉祥寺駅開設を手助けした。
- たまたま広大な井の頭公園の直近となり、街のステータスをも上げている。
おおむね「水」(弁財天は水の神様、井の頭公園は池が特徴)つながりはあるものの、寺院と鉄道の関係は、ややテーマから外れたようにも感じました。
【ブラタモリ吉祥寺・ロケ地】タモリさんが知られざる地形を探る#94
結論1つが徹底された「三英傑スペシャル」

一方、「三英傑(信長・秀吉・家康)スペシャル」は、岐阜編、大阪編、名古屋編をまとめるという散らかりやすい条件でしたが、経済発展につながる町づくりという点で、見事にひとつの結論に導いていました。

徳川家康が設計した名古屋の町割。碁盤の目状の道路に、間口の狭い商店が軒を連ねる形は、町の活性化を促しました。
詳細は省きますが、信長や秀吉も、経済を重視した町づくりを行ったことが紹介されました。
三英傑(信長・秀吉・家康)の経済発展を見越したまちづくり、というだけでも十分に統一感がありましたが、最後に印象的なダメ押しもありました。

大阪、名古屋、江戸城は、台地の先端という点も一致しますね。
大阪、名古屋、江戸城は、守りの都合があり、台地(舌状台地)の先端に立地していたのです。この一言で、視聴者は番組全体が印象に残ります。
【ブラタモリ三英傑(信長・秀吉・家康) 全ロケ地】町割りからその人柄を知る#sp
バラつきが目立ったアド街
奇しくも、ブラタモリ三英傑スペシャルと同日に放映されたのが「出没!アド街ック天国 -原宿編」。「カワイイカルチャーとV6の聖地」というテーマからして、やや焦点が絞れない感がありましたが、13位にスポンサーのアドバンのショールームが登場したのも、バラつき加減を強調した印象です。
伝えたいことはいろいろあるが、すべてカット!

ブラタモリは、取材を行ってもカットすることが多い番組として、知られています。

ブラタモリつくば編では、ブラタモリで地形の模型作りをよく担当される高橋雅紀先生(理学博士)が登場しています。
高橋先生は、過去にいくつもの力作が、番組では不採用になったことを明かしています。「結論ひとつ」の流れを最優先する、編集方針です。
ブラタモリでは、タモリさんがそばなどを食べるシーンがエンドロールに出てきますが、番組本編に使われることはめったにありません。そのくらいは割り込ませてもよいのではないかとも思いますが、「結論ひとつへ一直線」のこだわりが貫かれています。
ブラタモリ全体でも伝えたいことは1つ
ブラタモリの第1回は、長崎編でした。有名な坂の町です。ブラタモリは、1回1回に主張がありますが、ブラタモリ全体の主張は「高低差に注目すれば町歩きは楽しくなる」に集約されます。
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😎過去回ロケ地 完全収録

- 新ブラタモリ 伊勢神宮への旅
- 特番 東海道五十七次(京街道)
- 最終回 指宿
- 3/2 正倉院
- 2/3 鎌倉
- 1/13 黒部峡谷
- (これ以前は下のボタンから)
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